公認会計士の独占業務は監査です。
監査は株と密接に関わる仕事です。
今回は監査法人に勤めている場合、株式投資をすることができるのかを書きます。
そもそも監査とはなんでしょうか。
監査とは
資本市場に参加する企業は、投資家に経営内容を伝えるために財務情報を公開します。これを情報公開(ディスクロージャー)と言います。このとき経営者は、正しい情報を説明する責任(アカウンタビリティ)を負っていますが、自ら作った情報の正しさを自らが証明することはできません。そこで企業は、独立した第三者に証明を依頼します。この独立した第三者が公認会計士であり、公認会計士が判断するために行う検証を「監査」と言います。監査の結果は、「監査報告書」として企業に提出されます。
公認会計士監査は、その内容を検証して、「適正」か「不適正」かを判断した結果を報告するという意味で、保証業務であるといわれています。金融商品取引法では、すべての上場会社に公認会計士監査を義務付けています。公認会計士が企業の財務情報を検証し、その正しさを保証することによって、投資家は安心して投資活動を行うことが可能になるのです。
出典:日本公認会計士協会
公認会計士は監査を行うために、クライアントの機密情報にアクセスします。
取締役会議事録を閲覧することも監査業務の一つとしてあることから、かなり際どい情報も知ることができます。
そのため、まだ一般に公開されていない情報を用いれば株式で大儲けできそうです。
しかし、このような一般に公開されていない情報はインサイダー情報として利用することが制限されてます。
それでは、公認会計士は一切株式投資を行うことはできないのでしょうか。
公認会計士の株式投資
実は株式投資を行うことはできます。
もちろん自分が直接関わっているクライアントへの投資はできません。
一方、自分が関与していないクライアントであれば株式投資を行うことができます。
監査法人によっては、株式を購入・売却した際にシステムに登録することを求める場合があります。
登録は購入・売却した日中に行う必要はなく、一定の猶予(一週間以内等)があります。
そのため、デイトレなどを行っていない限り登録作業に大きな負担になることはないと思います。
株式を購入する際は、自分がいつ監査に関与するか分からないので、出来るだけ自分が勤めている監査法人とは別の監査法人が監査を行う企業の株式を購入する方が安全でしょう。
公認会計士は株式投資が得意?
公認会計士は常日頃から有価証券報告書を見ることが多いため、株式投資が得意な印象があります。
ただ監査法人で働いている肌感覚ではそもそも投資をしていない人が大多数であり、投資をしていたとしても大きく儲けている人は少ないように感じます。
なぜ公認会計士なのに株式投資が苦手なのか、私の推察は以下です:
・監査が過去の会計処理が適切であるかに対して重きを置いていることから、将来の価値を反映する株価の分析とは切り口が異なる
・財務分析は中長期の分析であるファンダメンタル分析であるため、株価の短期的な値動きを予測するテクニカル分析の分野と関係がない
以上、今回は公認会計士が株式投資を行うことができるのか、についてでした。