新人の公認会計士が担当することが多い未払金。
この中身を分析する中で、未払消費税が増減していることがあります。
ところで未払消費税ってどういう要因で増減するのでしょうか。
まず期末の未払金の計算ロジックを見てみましょう:
期末の未払金 = ①消費税の確定申告に基づいて計算された年間の消費税額 – ②期中の中間納付額の合計
つまり増減するとすれば、
①年間の消費税額
又は
②期中の中間納付額
のどちらかとなります。
年間の消費税額は課税所得及び控除対象仕入税額の増減によって動きます。
実務上の観点から増減の盲点となりやすいのが、期中の中間納付額!
期中の中間納付額が動く主要な要因はこちら:
1) 中間納付が期末日休日の影響で行われなかった場合
監査を行う会社は大きな会社が多く4,800百万円以上の確定消費税額があるため、年11回の中間納付を行います。
この中間納付は中間納付の末日の翌日から2月以内までに納付することとなります。
そのため、期首から10ヶ月分の中間納付を行います。
詳細はこちらの国税省のホームページから!
しかし、期末日が休日の場合、その支払いは翌月にズレるため、一月分の中間納付が行われず、未払消費税の増減要因となります。
2) 中間納付額を仮決算方式で行っている場合
中間納付額は前期の消費税額を12で割った金額を中間納付するか、各月の消費税額を仮決算行った金額かどちらかを納付することが選択できます。
しかも、これを毎月選択できるのです!
詳細はこちらの国税省のホームページから!(この規定は消費税法の基通15-1-2にも記載されてます)
そのため、会社のよっては資金繰りのために予定納付額と仮決算方式の有利選択を毎月行っています。
そして仮決算方式を選択している回数が多ければ、未払消費税の増減要因となるのです。
それでは具体的に見てみましょう。
具体例
12月決算の会社の未払消費税の増減
X1年の状況
課税所得:1,500
消費税額:1,500×8% = 120
未払消費税額:120 – 中間納付額 10×10ヶ月 = 20
*X1年は全て予定納付で中間納付を行った
X2年の状況
課税所得:2,000
消費税額:2,000×8% = 160
未払消費税額:160 – (中間納付額 10×8ヶ月+8) = 72
*X2年は12月31日が休日であったため、10月分の中間納付が行われなかった。
*8月は課税所得が100であったため、仮決算方式の方が効果的であったため、仮決算方式で計算された100×8%=8を納付した。
この場合の未払消費税の増減額は 72 – 20 = 52です。
それでは増減内容をそれぞれ見てみましょう:
増減内容
A) 課税所得の増加による未払消費税の増加:40
⇒当期課税所得2,000-前期課税所得1,500)×8%
B) 期末日休日による未払消費税の増加:10
⇒10月分の中間納付額が翌年度にズレたため
C) 仮決算方式の採用による未払消費税の増加:2
⇒予定納付額10-仮決算による納付額8
以上よりA)+B)+C) = 52で全体の未払消費税の増減を説明できました。